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NY JAN MUSICALS⑥Spring Awakening

JAN.6 マチネ Spring Awakening StageBB8($31.25)

NY JAN MUSICALS⑥Spring Awakening_c0089360_2342649.jpg評判が良くてオフから2ヶ月でオン行きが決定した今シーズンの話題作です(オンの初日は11月)。原作は19世紀にドイツの劇作家が書いた戯曲「春の目覚め」。ストレートプレイとしては日本でも何度か上演されていました。舞台は厳格なカトリックのハイスクール。性教育がなかった時代に、性に目覚めた若者達が悶々としたり、友情、恋愛や落第や自殺、妊娠、堕胎といった内容が盛り込まれた、いわゆる「これぞ青春!」の青春ドラマです。(熱血先生はいません)先に観た
 「Fantasticks」は若者のピュアさを描いてたのに対して、こちらは若者のあり溢れるエネルギー〈のぶつかり合い〉が特徴となっています。知ろうとする若者に対して、ひたすら隠そうとする親サイド。その摩擦から生まれる悲劇。母親から妊娠を知らされたときの娘の台詞「結婚していないのに」が時代背景を物語っています。

この舞台は真近で観たほうがいいとqさんに勧められてステージシートで観劇。ブロードウェイのステージデビューです(違うか・笑)。ステージ上の左右に2列に席があり、全席観客ではなく、舞台に出ていない間、俳優さんが座ってたりもします。正面から観れないという難点はありますが、この近距離で迫力のある汗ほどばしる体当たりの演技を楽しむことができます。ある意味では特等席。安いですしお勧めします。英語がわからなくて、一人でキョトンとしてたらどうしよう、と心配していましたが全然問題なしで楽しめました。ちなみにコート・手荷物の持込は一切不可で、一人一人専用のロッカーが準備されています。(余談ですが、全体の明るい照明のときは、オーケストラの結構後ろまでステージから顔がはっきりと見えました)

見所は若者達がロックミュージックに載せエネルギーを爆発させて行く点。ロックミュージカルでも「Rent」のロックとは違って、今時流行りのコンテンポラリーロックだそうです。(ロックまっしぐらというよりちょっとアンニュイな雰囲気が漂うという感じ)真剣に演技をしていたのに音楽が始まると衣装の内側のポケットに隠してあったハンドマイクをおもむろに取り出してまるでコンサートのようにロックを歌い出すキャスト達の演出も斬新。プロモーション用画像でご覧の方も多いと思いますが、本当に50cmくらい飛び上がっちゃいながら歌うんです。若さが弾けるど迫力でした。登場人物は美男美女の若者10人(男子組と女子組)とAdult Man &Womanのふたりです。Adultの二人が父・母、教師、医師等の何役も演じます。

特筆すべきは、主役の悲劇のヒロイン役のLea Michele。美人だし(Idina Menzelを若くした感じ)キレイな歌声だし、演技も上手い。ここを書くために調べたら、「レミ」のリトル・コゼット、「ラグ・タイム」のリトル・ガール等子役から始まり、最近は「屋根の家のバイオリン弾き」(観てた)で舞台経験豊富なんですね。しかも、「レミ」のエポニーヌに決まっていたのに、この作品がオンにあがるのが決まったので蹴ってこちらを選んだとか。正解ですね!やっぱり新作のオリジナルキャストのほうがステータス高いですし。(それにあの「レミ」じゃ)
もしかしたら、トニー賞の主演女優賞にノミネートされるかもしれません。(少し弱いかな)

もう1人は、Adult ManのStephan Spinella。渋く何役もこなしていました。特に自殺した息子を痛む父親役のときの悲しみを秘めた寡黙な演技がピカイチ。とこの人「Angeles in America」で2度トニー受賞等の実力派俳優でした。(LeaにしてもStephanにしても、何の前知識がなく観ても実力がある人ってやっぱり目立つんですね)

今回観た中で、一番勢いのあったミュージカルでした。何が言いたいの?とか考えてはいけない作品ですけどね。内容的に万人むけとはいえず(客席は若者中心)その点は「Mary Poppins」に負ける感じです。普段あまりミュージカルを観ないかたにはオススメませんが、1度の旅行で何本も観るようなシアターゴアーの方には今を感じる必見作です。若者からエネルギーを沢山もらって充電したという感じです。(何歳だ私は?)

by lovelysheep | 2007-01-22 23:23 | NY 07/01