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パッション

パッション_c0089360_0491634.jpg芸術の秋、今日から12月にかけて劇場通いが続きます。

第一弾は「パッション」。1994年のトニー賞で作品賞を受賞したソンドハイムのミュージカルです。
実は私が観に行ったトニー賞授賞式がこの1994年で、(当時)ガーシュウィン劇場で生でトニー賞のパフォーマンスを観、受賞した瞬間もこの目で見ていたのです。
そして、トニー賞の翌日に「パッション」を観に行きました(押さえてあったのがたまたまこの日だった)。劇場内はさぞかし盛り上がるだろうと思っていたら、そんな気配は全くなく、休憩なしの90分だったのですが、もし休憩があったら観客は帰ってしまうかもしれないとまで言われていた作品。どうして作品賞なのか、良さが全然理解できなかった私でした。

次に観たのは1997年のロンドンバージョン。理解できなかったのになぜ観たか?それは、マイケル・ボールが主役のジョルジオだったから2回も観てしまいました。ロンドン版のフォスカはマリア・フリードマンで、醜さの度を越えてコメディとなってしまった印象しか残っていません。ここでも理解不能。(ロンドンバージョンは2幕)

もともと難解なソンドハイムミュージカルで、NYでもロンドンでも良い印象がないので、日本版の「パッション」も全然観る気はなかったのでした。ところが、ソンドハイムミュージカル好きな友達から「パッションは日本の舞台ここ数年で一番の完成度、是非ひつじに観てほしい」と熱~いメールをいただいたのです。じゃ観るか、で「おけぴ」をチェックしたら、5000円でだしているかたがいて、観に行くことにしました。

(前置きが長くなりました)で、どうだったかというと、彼女が太鼓判を押しただけあって、クオリティの高い洗練された舞台でした。劇場内の緊張感が半端じゃなかったですね。日本のよくある大型商業ミュージカルとは違って、良いキャスト・良いスタッフを集めて、良質の舞台を日本でも作れるではありませんか!!

ソンドハイムの難しいメロディーをみなさん無難に歌いこなし、といって歌いあげてでもない。途中で1度も拍手が入らないミュージカルを初めて観たかも。それほど緊張感が張り詰めていたということ。
とにかくフォスカ役のシルビアが素晴らしい!観ていて気持ち悪くなるようなストーカー行為を見事にやり抜く怪優、「レベッカ」の時も恐ろしかったけど、凄い女優さんですね。

今回初めてテーマがわかったような気がしました。「愛することより、愛されること、与えるだけの無償の愛」「至上の愛」というのでしょうか?
理解できたのは日本語のせいなのか、自分が成長したのか、初演の90分バージョンより、かなり長くしバックグラウンドが分かりやすかったからか?(今日は貸切公演で最後挨拶もあったので休憩時間含め3時間弱)このカンパニーが素晴らしいからなのか?

とはいえ・・・井上君は勇敢な軍人には見えないし、冒頭のベッドシーンもあまり官能的でないし(これって健康的なクララと病弱のフォスカの対比だと思うので)、段々すれ違いが生じていき、ついに真実の愛に気付いたとしても、前半の流れに対してあまりにもジョルジオの心の変化の展開が唐突・急ピッチすぎるような気がしました。

本当にフォスカの執拗さは、不気味というか嫌悪感さえ抱くのですが、ときどきセリフのなかに真実を付いている部分があったのも印象的でした。

なんだか、まとまりが付かなくなってしまいました・・・
観てすぐに感想をアップするということから、私の感動度をわかってください。

by lovelysheep | 2015-11-08 01:57 | Theatre