人気ブログランキング | 話題のタグを見る

黄金のアデーレ~名画の帰還

黄金のアデーレ~名画の帰還_c0089360_23523583.png先週に続いて今週の「レディースデー」も映画「黄金のアデーレ・名画の帰還」を観てきました。
「ナショナルシアターライブ」の「オーディエンス」でヘレン・ミレンの演技に魅せられ、彼女の素晴らしい演技をまた観たいがこの映画を選んだ一番の理由。クリムトの絵に関する内容くらいしか前知識がなく鑑賞しました。

ミュージカルでもラブコメディでも恋愛ものでもなく法廷劇、ヒューマンドラマで、内容は重い部分もかなり組み込まれているのに、心揺さぶられた名作でした。

クリムトが絵に金箔を貼るオープニングから、BBCフィルムだ(ハリウッドとは違うかも)、久々の戸田奈津子さんの字幕でスタートしたこの映画です。

まず、目的のヘレン・ミレンの演技が、またまた素晴らしかった!実際は70歳で83歳の設定なので、老けたメイクをしていましたが、年をとっても、背筋を伸ばし、凛とした美しさ、感情表情の豊かさに脱帽です。これは役作り?地の部分も大きいのでは?高齢の女優さんはイギリス人のほうが多くないですか?どなかたが書いていましたがまさに「黄金のヘレン・ミレン」です。この映画の魅力の半分は彼女かも。

内容は、ナチスに奪われたクリムトが描いた伯母の肖像画返還を求め、国を訴えた女性の奇跡の実話です。実際は絵を取り戻すことよりも、そのためにつらい過去と向きあい乗り越える(心の回復)主人公の姿と、もう一人の主役の弁護士が弁護士として成長していく姿を描いています。

法廷部分は迫力あるセリフ劇で、舞台にも通じる部分があり、舞台好きはさらに引き込まれます。機転の効く最高裁所長官がジョナサン・プライスでしたね。

現在と過去(美しい部分と、ユダヤ人がナチに迫害されるシーン)が交錯し、+美しいウィーンの風景と、ウィットのあるセリフを盛り込み、構成のよさと演技派の俳優により、素晴らしい映画に仕上がっていました。

最後は涙が流れてきました。良い映画を観ました!

余談ですが・・・私はこの絵をウィーンで見てます。何度もNYに行ってるのに現在この絵が展示されている「ノイエ・ギャラリー」に行ったことがありません。

by lovelysheep | 2015-12-04 00:39 | Theatre