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ザ・オーディエンス

ザ・オーディエンス_c0089360_1291033.jpg舞台を映像で見るのはあまり好きではありません。舞台というのは、劇場で座席に座った観客の目で観るために作られているので、映画とは違うから、TVでやる舞台中継はほとんどみません。でもこれは偏見だったかも、または日本の舞台放映技術(舞台そのもの?)が悪いせいかも。

ナショナル・シアター・ライブの「ザ・オーディエンス」を観てきて、私のそんな先入観が覆りました。
いや~素晴らしかった!面白かった!!

英国女王と歴代首相達による謁見会話劇。この題材を舞台にしようと思った着眼点、脚本、演出、俳優たちの演技どれもこれも素晴らしく、舞台が総合芸術であることがわかります。
20代から80代までのエリザベス女王を演じこの役でトニー賞主演女優賞受賞のヘレン・ミレン。単に年代順に描くのはなく、順不同で、衣装を着替え歩き方体系の見せ方で、瞬間にその年齢の女王になりきる化け物のような女優!
ウィットに飛んで、ユーモラスながら、女王の誇りも悲しみも孤独等が伝わってきます。最後は涙がじわじわと湧き上がってきました。
実際の謁見は記録に残っていないので、脚本は他の史実から「きっとこんなことを話していたのだろう」の想像だそうですが、どうしてエリザベス女王がイギリス国民に愛されているかが伝わってきました。

何の予習もしていなかったので、イギリス政治の流れがきちんとわかっていなかったのですが、それでもイギリス好きの私で、ア~この台詞はこの事実とつながるのね~と。イギリス在住のかたは各首相のこと・各時代がわかるので、もっともっと楽しめるのに違いないのが羨ましい。

もしこれを劇場で観ていても、セリフが半分も理解できないと思うで、字幕ありで観れて良かった!

この作品、ロンドンでは2013年に上演され、今年ブロードウェイに上がりました。こんな素晴らしい作品がトニー賞の作品賞にノミネートされないくらいだから、「Living On Love」が、ノミネートなしなのは仕方ないのかも。
ロンドンでは今年リバイバル上演がありました。この写真はロンドンの6月のものです。

by lovelysheep | 2015-08-02 02:05 | Theatre